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メタバースの不登校支援はどこまで広がった?自治体の支援から通信制高校のコースまで

#不登校 #オンライン学習 #編集部の立ち話
この記事でわかること
  • 大阪市・栃木県・横浜市で始まるメタバース支援の対象と申し込みの入口
  • 自宅でのICT学習が出席扱いになった小中学生の人数の推移
  • 高校生も利用できるメタバースの支援やコース(県・在籍校・通信制高校・サポート校)
  • 今の学校に在籍したまま利用できるものと、通信制高校に入学して利用するものの違い

2026年の秋、メタバース(インターネット上の仮想空間)を使った不登校支援が大阪市と栃木県で始まり、横浜市も10月20日に開始します。いずれも、家で過ごす時間が長い小中学生などが、家から参加できる支援です。

家からメタバースで参加できる仕組みは、以前から続く自治体の取り組みや、高校生向けの支援、通信制高校のコースにもあります。ただし、利用できるかどうかは住んでいる地域や在籍校、本人の状況で変わります。

この記事では、3つの自治体の支援内容を中心に、文部科学省の調査やほかの事例もあわせて、今回の動きの位置づけと、利用する前に確かめたい点を解説します。

2026年秋、大阪市・栃木県・横浜市がメタバースの不登校支援を始める

3つの自治体の支援は、対象も申し込みの入口も少しずつ違います。大阪市は9月、栃木県は10月に始めており、横浜市は10月20日に開始します。愛知県大府市のように、2023年から続けている自治体もあります。

表1:自治体によるメタバースを使った不登校支援(例)

実施主体名称主な対象期間実施日時申し込みの入口
大阪市教育支援センター(メタバース)のモデル設置事業市立小中学校・義務教育学校に在籍し、外出が難しく、学校内外の支援や専門機関と十分につながれていない不登校の児童生徒のうち、本人と保護者が利用を希望する児童生徒(約350人を想定)2026年9月〜2027年3月(モデル実施)月・水・金の10時〜15時(原則)在籍校に相談
栃木県栃木県教育支援センター「メタバースを活用した支援」県内在住または在学の小学生〜高校生など。不登校または不登校傾向で家庭で過ごす時間が長く、利用を希望し、センターが適当と判断した児童生徒2026年10月〜2027年3月火〜金の13時〜15時(祝日・長期休業期間を除く)センターのフォームで体験を申し込み、正式利用は在籍校を通して利用申込書を提出
横浜市メタバースキャンパス市内在住または市立学校に在籍する小・中学生(登録は200人まで)2026年10月20日〜2027年3月31日記載なし在籍校に相談(私立学校の場合は教育支援センター)
愛知県大府市教育メタバースを活用したオンラインによる長期欠席児童生徒への支援市立小中学校に在籍し、長期欠席傾向にある児童生徒2023年12月〜毎週火・木(長期休業期間を除く)学校に事前相談

※各自治体の公式ページの記載を要約(2026年10月16日確認)。横浜市の対象は、同じページにある不登校支援全体の対象の記載です。横浜市は、支援事業の利用には学校によるアセスメントと本人の意思確認が必要としています。栃木県の申し込み方法は、栃木県総合教育センターの記載によります。

アバター(仮想空間で自分の代わりに動く分身のキャラクター)を使った交流や学習など、内容は自治体ごとに違います。

大阪市は学習支援を週3回、心理の専門家による相談と交流活動をそれぞれ週1回行います。

栃木県は1コマ45分程度のオンライン活動プログラムなど、横浜市はゆるやかな交流と、学びたいときに学べる場を用意しています。

家でのICT学習で出席扱いになる小中学生は増えたが、2024年度でも不登校の100人に3.75人

家から参加する学びは、学校の記録の上でも数が増えています。

文部科学省の調査では、小・中学校の不登校児童生徒のうち「自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数」が公表されています。

表2:小・中学校の不登校児童生徒数と、自宅のICT等の学習を出席扱いとした人数

年度不登校児童生徒数自宅のICT等の学習を出席扱いとした人数不登校100人あたり
令和2年度(2020年度)196,127人2,626人1.34人
令和3年度(2021年度)244,940人11,541人4.71人
令和4年度(2022年度)299,048人10,409人3.48人
令和5年度(2023年度)346,482人10,467人3.02人
令和6年度(2024年度)353,970人13,261人3.75人

※出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(令和8年1月16日一部修正)p.3・p.32(PDFの通しページ)。
※「不登校100人あたり」は、出席扱いとした人数÷不登校児童生徒数×100で算出(小数第3位を四捨五入)。令和6年度の13,261人÷令和2年度の2,626人=約5.05倍。
※「ICT等」はメタバースに限らず、インターネットや郵送・FAXなどを使った学習を含みます。

人数は令和2年度から約5倍に増えましたが、年度ごとには増減があります。

不登校の子ども100人あたりで見ると令和3年度以降は3〜5人で、家から学んだ日が出席になる例は、まだ一部にとどまっています。

大府市のように、「1コマ以上のプログラムに参加し、事後アンケートに回答した場合、出席扱いとなります」と条件を公表している自治体もありますが、出席として扱うかどうかは在籍校の校長が判断するため、メタバースの支援を利用する前に、在籍校に確かめておくと安心です。

メタバース支援の利用条件は、住んでいる地域と在籍校で分かれる

同じメタバースの支援でも、対象の決め方は自治体ごとに違います。表1の4つの自治体は、次のように分かれます。

  • 在籍している学校が条件:大阪市・大府市は、市立の小中学校などに在籍していることが条件です
  • 住所か在籍のどちらかが条件:栃木県は「県内在住又は在学」、横浜市は「市内在住または横浜市立学校に在籍」です

対象の学年も違い、大阪市・横浜市・大府市は小中学生、栃木県は高校生も含めています。

住所や在籍校の条件を満たしていても、それだけで利用できるとは限りません。大阪市・栃木県・横浜市は、本人が利用を希望していることや、学校・センターの判断も条件にしています。

住んでいる市区町村にメタバースの支援がなくても、栃木県のように、県の支援を利用できる場合があります。市区町村と都道府県の両方の教育委員会のページを確かめると、利用できる支援を見落としにくくなります。

高校生向けのメタバース支援やコースは、県・高校・サポート校が用意している

高校生が家から参加できるメタバースの支援やコースには、今の高校に在籍したまま利用できるものと、通信制高校に入学して利用するものがあります。どちらにあたるかで、費用や申し込み先も変わります。

表3:高校生が家から参加できるメタバースの支援・コース(例)

用意する主体分類内容状況
栃木県教育支援センター県の教育支援センター高校生も対象のメタバース支援実施中(2026年10月〜2027年3月)
和歌山県立貴志川高校(受託:クラスター株式会社)県立高校学校に通うことが難しい生徒が、自宅からバーチャル空間に入り、授業に参加できる環境を整える事業整備中(2026年度事業)
勇志国際高等学校通信制高校ネット生向けのメタバースコース2027年度の募集要項に掲載
明聖高等学校通信制高校WEBコースをメタバース上で行う「MEISEIスクールバース」2027年4月開始予定
ニジ高(運営:株式会社NIJIN)サポート校メタバース校舎+キャンパス通学(希望制)提供中

※和歌山県の記載は受託企業の発表、明聖高等学校の記載は同校の発表による。

在籍している高校が、家から授業に参加できる環境を整える

和歌山県立貴志川高校の事業は、2026年度に環境を整える段階です。

事業を受託したクラスター株式会社の発表では、見学から始めて少しずつ参加や交流を重ね、校内の「個別学習室」(自分のペースで学べる教室)に通えるようになることを目指すとしています。

家から参加できる場をつくるだけでなく、校内の教室に通うことにつなげる構想です。

通信制高校のメタバースコースは、入学して利用する

通信制高校のメタバースコースは、その学校に入学して学ぶ場として用意されています。

勇志国際高等学校の募集要項では、メタバースコースにも、授業料などの学費とは別に次の費用がかかります。

  • スクーリングの費用:10,000円
  • アカウント発行費:8,000円
  • 機器の購入:パソコン・VRゴーグルなどが必要になる場合がある

このほか、ほかのコースと同じく、年度ごとの教材費(13,000円程度)や健康診断費、スペシャルスクーリングに参加する場合の宿泊費等もかかります。

スクーリング(学校などに登校して受ける面接指導)があるため、メタバースコースでも登校する日があります。

サポート校は、今の高校に在籍したまま組み合わせられる

サポート校は、通信制高校での学習や学校生活を支援する施設で、法令上の「高等学校」ではありません。

ニジ高はメタバース上の校舎で学ぶ形をとり、希望すればキャンパスにも通えます。全日制・通信制の高校に在籍したまま組み合わせて利用でき、卒業資格は在籍する高校から授与されます。新しく入学する場合は、連携する通信制高校に入学します。

ここまでの通信制高校やサポート校は、費用や登校の条件がそれぞれ違います。気になる学校や施設があれば、募集要項や公式ページで比べてみるとよいでしょう。

申し込みの入口は、在籍したまま利用するか、入学して利用するかで分かれる

どこに申し込むかは、支援やコースの種類によって違います。

表4:メタバースの支援・コースの種類と、申し込みの入口(例)

種類例主な対象今の学校との関係申し込みの入口
市の支援大阪市・横浜市・大府市その市の小中学校に在籍、または市内在住の小中学生在籍したまま利用在籍校に相談(横浜市の私立学校の場合は教育支援センター)
県の支援栃木県県内在住または在学の小学生〜高校生など在籍したまま利用センターのフォームで体験を申し込み、正式利用は在籍校を通して利用申込書を提出
在籍している高校の取り組み和歌山県立貴志川高校学校に通うことが難しい生徒在籍したまま利用記載なし(在籍校に確認)
通信制高校のコース勇志国際高等学校・明聖高等学校入学・転入学・編入学する生徒入学・転入学・編入学(在籍生のコース変更は各校に確認)各校に出願
サポート校ニジ高高校に在籍している生徒、または連携する通信制高校に入学する生徒在籍したまま組み合わせて利用できるニジ高に申し込み

自治体の支援は、在籍校への相談が入口になる例が多くあります。

一方、通信制高校のメタバースコースは、その学校に入学・転入学・編入学して利用するもので、サポート校のニジ高は今の高校に在籍したまま組み合わせられます。

今の学校に在籍したまま利用したいのか、通信制高校への入学や転校も考えるのかを先に決めておくと、検討する支援やコースを絞り込みやすくなります。

表の数値や事業の予定を読むときの注意点

この記事の数値や事業の情報は、2026年10月16日時点のものです。読むときは、次の点に注意してください。

  • 統計の年度:表2は令和6年度調査の数値です。令和7年度調査は、2026年10月16日時点では公表されていません
  • ICT等の範囲:表2の統計からは、メタバースの支援を利用した子どもの人数だけを取り出すことはできません
  • 2027年度以降の実施:大阪市の事業はモデル実施で、栃木県のメタバース支援と横浜市のメタバースキャンパスも2027年3月までの期間で行われます。2027年度以降も続くかどうかは、各自治体の今後の発表を待つことになります
  • 開始前の取り組み:横浜市のメタバースキャンパスは2026年10月20日から、明聖高等学校の「MEISEIスクールバース」は2027年4月から始まる予定です。和歌山県の事業は2026年度に環境を整える段階で、利用が始まる時期は確認できていません
  • 掲載の範囲:表1・表3は例であり、全国のすべての支援やコースを集めたものではありません

支援の内容や期間は変わることがあるため、利用を考えるときに、各自治体や学校の公式ページで最新の情報を見ておくと安心です。

よくある質問

住んでいる市にメタバースの支援がない場合は?

都道府県の支援を利用できる場合があります。栃木県のように、県の教育支援センターが「県内在住又は在学」の児童生徒を対象にしている例があります。

申し込みはどこにすればよいですか?

大阪市・横浜市・大府市は、在籍校への相談が入口です。横浜市の私立学校の場合は、教育支援センターに相談します。栃木県は、体験のあとに正式に利用する場合、在籍校を通して利用申込書を出します。通信制高校のコースは各校に出願し、サポート校のニジ高はニジ高に申し込みます。

メタバースで過ごした日は出席になりますか?

小中学校では、出席として扱うかどうかを在籍校の校長が判断します。大府市は、条件を満たした場合に出席扱いになると公表しています。高校の場合も含め、利用する前に在籍校に聞いてみてください。

通信制高校のメタバースコースなら、通学しなくてよいですか?

勇志国際高等学校の募集要項では、メタバースコースでもスクーリングの費用が別途必要とされています。スクーリングの日数や場所は学校ごとに違うため、各校の募集要項で確認してみてください。

今の高校をやめずに、メタバースで学べる支援やコースはありますか?

サポート校のニジ高は、全日制・通信制の高校に在籍したまま組み合わせて利用できます。和歌山県立貴志川高校のように、在籍している高校が自宅から参加できる環境を整える例もあります。

まとめ|メタバースの不登校支援は、地域と在籍先で利用できるものが変わる

2026年の秋、メタバースを使った不登校支援が大阪市・栃木県で始まり、横浜市も10月20日に開始します。家から参加できる選択肢が加わる一方、利用の条件や出席の扱いは、支援やコースによって違います。

  • 自治体の支援:小中学生向けが中心で、在籍校や住所の条件に加え、本人の希望や学校・センターの判断を条件にする自治体もある
  • 出席の扱い:自宅でのICT学習が出席扱いになった小中学生は令和2年度の約5倍に増えたが、扱いは在籍校の校長が判断する
  • 高校生の選択肢:在籍したまま利用できる支援やサポート校と、入学・転入学・編入学して利用する通信制高校のコースがある

どの支援やコースを利用できるかは、住んでいる地域と在籍先によって変わります。まずは市区町村と都道府県の教育委員会のページで支援があるかを確かめ、在籍校に利用の相談と出席の扱いを聞いてみてください。

【出典】
大阪市『教育支援センター(メタバース)のモデル設置事業を実施します』
栃木県『栃木県教育支援センターにおける来所又はオンラインによる居場所・学習・相談支援について』
栃木県総合教育センター『相談・居場所・学習支援』
栃木県教育支援センター『メタバースによる支援のご案内』
横浜市『不登校支援』
大府市『教育メタバースを活用したオンラインによる長期欠席児童生徒への支援』
文部科学省『令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』
文部科学省『不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて』
和歌山県教育委員会『貴志川高校メタバース環境構築及び運営支援業務』
クラスター株式会社『高校教育改革促進拠点運営事業(N-E.X.T.ハイスクール構想)受託の発表』
勇志国際高等学校『令和9年度 募集要項』
学校法人花沢学園 明聖高等学校『MEISEIスクールバース』に関する発表
株式会社NIJIN『ニジ高 公式サイト』
株式会社NIJIN『ニジ高 入学案内』

本記事に掲載している情報は、記事執筆時点のものです。日程・費用・制度などは変更される場合があります。最新情報は、各学校・自治体の公式サイト等でご確認ください。

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