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教科書とレポートだけじゃない。調査データから読み解く通信制高校の「いまの学び方」

通信制高校というと、「自宅で教科書を読み、レポートを提出する」というイメージがあるかもしれません。

でも、いまの学び方はそれだけではありません。リクルートEd-tech総研の2024年調査では、回答校の100%が紙教材を利用する一方、62.1%がICT教材も利用していました。

紙かデジタルかではなく、それぞれを組み合わせて学ぶ。この記事では、調査データから通信制高校の「いまの学び方」を読み解きます。

今回、主に参照した調査

リクルートEd-tech総研「通信制高校のICT教材・オンライン教材利用に関する調査」

※設問によって有効回答数は異なります

本記事で紹介する割合は、全国すべての通信制高校をそのまま表すものではなく、調査回答校の傾向として紹介します。生徒の状況や通信制高校の制度については、文部科学省の公表資料もあわせて参照しています。

調査データで見る、通信制高校では何を使って勉強している?

「通信制高校なら、タブレットやパソコンを使ったオンライン学習が中心なのでは?」と思う人もいるかもしれません。

実際のデータを見ると、少し違った姿が見えてきます。教材について回答した66校では、100%が紙教材を利用していました。

紙教材利用割合
教科書100.0%
プリント類84.8%
問題集などの副教材66.7%
※有効回答66校、複数回答。

教科書やプリント、問題集など、紙を使った学びは今も広く行われています。一方、同じ調査では62.1%がICT教材を利用していました。デジタル教科書まで含めると66.7%です。

つまり、調査回答校では、

「紙かデジタルか」ではなく、「紙もデジタルも」

という学び方が見られます。

オンラインで学ぶ方法も一つではない

ICT教材やオンライン学習の内訳を見ると、最も多かったのは市販のオンデマンド教材45.5%。続いて、学校独自製作のオンデマンド教材30.3%でした。

ICT教材・学習方法利用割合
市販のオンデマンド教材45.5%
学校独自製作のオンデマンド教材30.3%
デジタル教科書12.1%
学校独自のリアルタイム配信授業10.6%
市販のリアルタイム配信授業6.1%
※有効回答66校、複数回答。

決まった時間に参加するリアルタイム授業だけでなく、自分のタイミングで利用できるオンデマンド教材が使われていることがわかります。

具体的な教材について回答した39校では、次のような教材が挙げられています。

教材名利用割合
NHK高校講座69.2%
学校独自の教材43.6%
スタディサプリ38.5%
Classi10.3%
すらら5.1%
※有効回答39校、複数回答。

映像で学ぶ。学校独自の教材を使う。ICT上で問題に取り組む。

ひとことで「オンライン学習」といっても、その中身はさまざまです。

今回の調査から見えてくるのは、紙教材がICT教材に置き換わっているというより、学ぶ方法の選択肢が増えている姿です。

教科書でじっくり読むほうが合う人もいれば、映像でもう一度説明を確認したほうが理解しやすい人もいます。大切なのは「紙かICTか」だけではなく、それぞれの教材をどう組み合わせて学習を支えているかを見ることです。

通信制高校では、自宅などでの自学自習を中心に、レポートにあたる添削指導、スクーリングにあたる面接指導、試験などを通して学習します。

基本的な仕組みは共通していても、普段、何を使ってどう学ぶのかは学校によって違うということです。

なぜICT教材を取り入れる学校がある?データから見える「自分に合った学び」

では、学校はICT教材のどんなところにメリットを感じているのでしょうか。

ICT教材・オンライン教材を利用する学校への調査では、生徒の学習面について次の回答が上位になりました。

  • 繰り返して学習することができる:72.1%
  • 学習内容がわかりやすく編集されている:57.4%
  • 生徒の習熟度に合わせることができる:52.5%
  • 生徒のレベルに合っている:47.5%

※有効回答61校。

最も多かったのは「繰り返して学習できる」ことでした。

ICT教材というと、「自宅で使える」「好きな時間に勉強できる」といった便利さに目が向きがちです。

でも、この結果からは、自分の理解に合わせて学習しやすいことにもメリットが感じられていることがわかります。

一度ではわからなかった説明をもう一度見る。苦手なところを繰り返す。教材によっては、自分に必要な単元を選んで取り組むこともできます。

同じ高校生でも、これまでの学習経験は同じではない

こうした特徴が意味を持つ背景の一つに、生徒一人ひとりの学習経験の違いがあります。

文部科学省の「令和7年度通信制高等学校実態調査」では、令和7年度の入学者77,998人のうち、中学3年生のときに不登校だった生徒は44,461人、57%でした。

設置形態別に見ると、次のような差があります。

設置形態中3時不登校だった生徒の割合
公立53.5%
私立56.6%
株式会社立65.4%

もちろん、「通信制高校=不登校を経験した人の学校」という意味ではありません。通信制高校を選ぶ理由はさまざまです。

ただ、同じ高校生でも、これまでに学んだ範囲や理解度は一人ひとり違います。

学校へ通えなかった期間があれば、一部の単元を十分に学べていない場合もあるでしょう。授業には出ていても、途中からわからなくなっていることもあります。

「自分のペース」は、時間や場所だけではない

通信制高校について調べると、「自分のペースで学べる」という言葉をよく目にします。

「好きな時間に勉強する」
「自宅で学ぶ」
「毎日学校へ通わない」

こうした時間や場所の柔軟さも、大切な「自分のペース」です。

ここでもう一つ注目したいのが、「自分が理解できるところから学ぶ」という視点です。

たとえば、高校の数学がわからない原因が、中学校で学ぶ計算や方程式にあるなら、必要なところまで戻って学び直す方法もあります。

わかるまで繰り返す。
必要なら前の単元へ戻る。
理解できたら次へ進む。

「自分のペースで学ぶ」は、好きな時間に勉強できることだけでなく、自分の理解度に合わせて学び方を調整することまで含めて捉えるとわかりやすいでしょう。

ICT教材のメリットとして「繰り返せる」「習熟度に合わせられる」といった項目が上位に挙がっていることからも、時間や場所だけではない「自分に合った学び」の姿が見えてきます。

学習ログはどう使われている?「自宅での学び」が見えやすくなる

オンライン教材には、学習した過程をデータとして記録できるものがあります。

たとえば、

  • いつ取り組んだか
  • どこまで進んだか
  • どの教材に取り組んだか

といった学習履歴です。

調査では、ICT教材・オンライン教材を導入する学校のうち、この設問に回答した38校では、52.6%が学習ログ・データを取得・把握するサイクルを回していました。

すべての学校が同じ方法でログを取っているわけではなく、システム上で取得できない場合には、視聴記録をレポートとして提出するなど、別の方法で学習状況を確認するケースもあります。

また、成績評価への反映について回答した35校では、68.6%が学習ログ等を成績評価に反映していると回答しました。

ただし、学習ログが残っただけで、自動的に単位が認定されるわけではありません。通信制高校では、添削指導や面接指導、試験など、学校が定める学習や評価を通して単位修得を目指します。学習ログの扱いも学校によって異なります。

学習ログは、生徒を支える手がかりにもなる

通信制高校では、自宅など学校以外で学ぶ時間が多くあります。

そのため、「学校に来たかどうか」だけでは、日々の学びの様子まではわかりません。

学習履歴が残れば、

「どこまで進んでいるのか」
「どこで学習が止まっているのか」

を知る手がかりになります。

学習ログは、単なる管理のための数字ではなく、離れた場所で学ぶ生徒の状況を知り、必要な支援につなげる材料にもなり得ます。

だから学校選びでは、「学習ログを取っているか」だけではなく、その情報を先生がどう見て、学習支援にどう生かしているのかまで確認できると、学校のサポートのあり方がより見えやすくなります。

調査から見えてきた、学校選びで確認したい「学び方」

今回の調査から見えてきたのは、同じ「通信制高校」でも、普段の学び方は学校によって違うということです。

だから学校を選ぶときは、登校日数や学費、コースと一緒に、

「登校しない日は、何を使って、どう学ぶか」

にも目を向けてみてください。

学校説明会や個別相談では、たとえば次のようなことを確認できます。

□ 普段の自宅学習では、どんな教材を使いますか?
□ 紙教材とオンライン教材をどのように使い分けていますか?
□ わからない問題があるとき、どう質問できますか?
□ 中学校以前の内容まで戻って学ぶことはできますか?
□ 学習が止まったとき、どのようなフォローがありますか?

「タブレットがあります」「オンライン教材を使っています」というだけでは、実際の学び方まではわかりません。

  • どんな教材を、どう使うのか。
  • わからなくなったとき、どう学び直せるのか。
  • 一人で学習が止まったとき、誰がどう支えてくれるのか。

そこまで確認すると、入学後の自分の姿をイメージしやすくなります。

また、ICT教材が多ければ多いほど、自分に合う学校になるとも限りません。

教科書でじっくり読みたい人もいれば、動画で説明を聞いたほうが理解しやすい人もいます。自分で進めたい人もいれば、先生に見てもらいながら進みたい人もいるでしょう。

大切なのは、「紙かICTか」という二択ではなく、

「その学校なら、自分はどんなふうに学べそうか」

という視点です。

通信制高校を選ぶことは、学校を選ぶことだけではなく、自分に合った「学び方」を選ぶことでもある。

調査データを学校選びに生かすなら、そんな視点も持っておきたいところです。

参考資料

本記事に掲載している情報は、記事執筆時点のものです。日程・費用・制度などは変更される場合があります。最新情報は、各学校・自治体の公式サイト等でご確認ください。

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