- 通信制高校で指定校推薦を使えるかどうかを分ける、推薦枠の学校差
- レポート・スクーリング・試験をもとにした、評定の付き方
- 校内選考で見られることがある、出席・出校状況や学校活動などの観点
- 学校選びで比べる、進学実績・推薦枠・進路指導体制の確認項目
大学進学を考え始めたとき、「通信制高校でも指定校推薦は使えるのだろうか」と気になる場面があります。通信制高校でも指定校推薦を利用して大学進学を目指すことは可能ですが、推薦枠の有無や評定の付け方は学校によって異なります。
学校ごとに条件が違うからこそ、どこで何を確認するかが判断の支えになります。この記事では、指定校推薦の仕組みから、評定や校内選考で見られる観点、学校選びで比べたい項目まで解説します。
通信制高校の指定校推薦枠は学校ごとに違う
通信制高校からでも、指定校推薦を利用できる場合があります。指定校推薦は「大学が指定した高校の生徒を対象とする仕組み」で、通信制課程であることだけを理由に、制度上一律に対象外となるものではありません。
実際に使えるかどうかは、在籍校に推薦枠があるか、大学と高校の条件を満たすかで決まり、枠の有無は学校ごと、年度ごとに変わることがあります。
学校によって差が出やすいのは、次の3点です。
- 推薦枠の有無:学校説明会や公式サイトで確認できます
- 対象の大学・学部、人数:進路実績の公開ページのほか、在籍予定校の進路担当(本校・キャンパス等)に聞けます
- 大学進学に力を入れたコースの有無:公式サイトや個別相談で分かります
過去に枠があった大学でも、翌年度に同じ枠があるとは限りません。最新年度の枠は、公式サイトの更新や説明会、個別相談で確かめられます。
キャンパスや学習拠点ごとに相談窓口が分かれている場合もあるため、推薦や評定に関わる内容は、在籍する通信制高校の進路担当に確認します。
学校全体の枠の数より、志望する分野の枠があるかどうかが大切です。進路担当には、希望する大学や学部を伝えたうえで、これまでの実績を具体的に聞いてみてください。
【出典】
文部科学省委託調査「令和7年度 大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究 調査報告書」
指定校推薦は早く決まる反面、専願や校内選考に注意が必要
指定校推薦は、大学が指定した高校の生徒のうち、高校から推薦を受けた生徒が出願できる学校推薦型選抜です。
大学・学部ごとに推薦要件が定められ、推薦人数に上限がある場合や希望者が複数いる場合などには、高校の校内選考を経て推薦者が決まります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 大学が指定した高校に在籍する生徒 |
| メリット | 一般選抜に比べて早い時期に進路が決まりやすい(2027年度入試の要項では、学校推薦型選抜の出願は11月1日以降、結果発表は12月1日以降) |
| 注意点 | 推薦人数に上限がある場合がある、校内選考の基準を満たす必要がある、専願や入学確約を求められる場合がある |
指定校推薦で出願し、合否が決まるまでには、高校での校内選考と大学側の選考があります。
- 高校での校内選考:評定や出席・出校状況、学校活動、面接など、学校が定める基準で選抜される
- 高校から大学への推薦:校内選考を通過した生徒が推薦される
- 大学側の選考:調査書・推薦書などに加え、原則として面接などによる評価が行われる
面接が行われない例外と、2029年度までの経過措置
2027年度入試から、学校推薦型選抜では原則として面接による評価を行うことになっています。
例外として、高校と大学が連携して丁寧なマッチングを行っていると考えられ、合格したら入学することを確約して受験する「非公募型」(指定校推薦のように出願できる高校が限られる形式)の選抜では、大学の判断で面接を行わない場合があります。
また、従来から実施している選抜のうち、面接の導入が難しいものには、2029年度入試までの経過措置が設けられています。
専願や入学確約を求められる場合の併願と辞退
指定校推薦に絞らず、一般選抜や総合型選抜も視野に入れておくことはできます。
ただし、専願や入学確約を求められる場合は、校内推薦が決まったあとの併願や辞退に制限がかかることがあります。
他方式との併願の可否は高校と大学によって異なるため、推薦を申し込む前に、両方の要項で確かめておくと安心です。
進路が早く決まると、そのあとの時間を卒業に向けた学習や入学準備に使えます。一方で、専願の場合は辞退しにくくなるため、第一志望かどうかを確かめたうえで申し込むか考えてみてください。
評定は学校ごとの評価規準・方法に基づいて決まる
指定校推薦では、評定平均が確認されることがあります。成績としての評定、大学が求める出願要件、高校の校内選考は、それぞれ別のものです。
どれについて知りたいのかを分けておくと、誰に何を聞けばよいかが見えてきます。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 評定 | 在籍する通信制高校が、学習状況を学校の評価規準・方法で総合して付ける成績 |
| 大学の出願要件 | 大学が設定する、評定の下限など出願できる条件 |
| 校内選考 | 高校が、推薦する生徒を決めるために用いる基準 |
通信制高校では、評定は学校が定める評価規準・方法に基づき、レポート、スクーリング、試験などを通じて把握した学習状況を総合して決められます。
レポートの提出状況をどう見るか、試験の合格基準をどう置くかは学校や科目によって違うため、評価規準・方法は在籍する通信制高校で確認しておきましょう。
日々意識したいこと
- レポートは期限内にコツコツ提出する
- スクーリング(面接指導)には計画的に出席する
- 試験に向けて、日頃から復習する習慣をつける
転入・編入で確認すること
- 前籍校の単位:受入校の校長が卒業に必要な単位として認める範囲は、学校によって異なる
- 校内選考の対象期間:前籍校を含むどの期間の成績を確認するか、在籍予定校の進路担当に事前に確認する
「評定平均をどう上げればいいか分からない」という場合は、在籍する通信制高校の教員や進路指導担当に相談してみると、自分の状況に合ったアドバイスをもらいやすくなります。
評定は、全国一律の計算方法で決まるものではなく、学校が定める評価規準・方法に基づいて付けられます。まず評価規準を見せてもらい、レポートや試験で何が見られるのかを知っておくと、日々の学習の目標が立てやすくなります。
【出典】
文部科学省「〔別紙3〕高等学校及び特別支援学校高等部の指導要録に記載する事項等」
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
校内選考で見られる観点は学校ごとに違う
校内選考で何を見るかは、高校ごとに異なります。評定に加え、出席・出校状況や学校活動、面接・面談、書類などを材料とする学校もあるため、見られる観点を早めに知っておくと準備しやすくなります。
例として、クラーク記念国際高等学校では、学習面に加え、委員会活動や行事、生徒会などの取り組みも校内選考で総合的に見るとしています。
| 見られることがある観点 | 確認すること |
|---|---|
| 評定平均 | 学校が示す評価規準・方法 |
| 出席・出校状況 | 必要なスクーリングへの出席と、学校が定める出校・活動基準 |
| 学校活動 | 委員会、行事、生徒会などの取り組みが選考でどう扱われるか |
| 面接・面談、書類 | 実施の有無と、準備を始める時期 |
なお、面接や小論文は、大学側の選考で求められる場合があります。必要かどうかは、志望大学の募集要項で確認しておくとよいでしょう。
「いつまでに何をすればいいか分からない」と感じる場合は、学校説明会や個別相談で、年間のスケジュール感を聞いておくと見通しが立てやすくなります。
校内選考の基準は学校ごとに違うため、友人や他校の話をそのまま当てはめず、在籍する学校の基準で考えてみてください。迷うときは、基準が書かれた資料があるかを、進路指導の先生に聞くところから始められます。
【出典】
クラーク記念国際高等学校 横浜キャンパス「通信制高校で指定校推薦は取れる?高校1年生から始めたい5つの準備」
学校選びでは、進学実績と推薦枠の傾向を複数校で比べる
学校ごとに公開している情報の量が違うため、複数校で同じ項目を見比べると違いが分かります。まずは気になる項目から確認してみてください。
| 確認項目 | 確認すること |
|---|---|
| 大学進学実績 | 指定校推薦の実績と、進学先全体の実績の公開状況 |
| 推薦枠の傾向 | 過去に枠があった大学・学部 |
| 評定の付け方 | 評価規準・方法の説明(レポート・スクーリング・試験の扱い) |
| 進路指導体制 | 面談の頻度、進路相談のしやすさ |
| 進路相談の窓口 | 本校のみか、通うキャンパスでも相談できるか |
公式サイトやパンフレットで公開されている実績は過去の例で、翌年度の枠を保証するものではありません。最新年度の推薦枠や条件は、学校に直接確認しましょう。
昨年度は何人が指定校推薦を利用したのか、校内選考の基準は文書で見られるのか。数字や資料で答えられる質問を説明会や個別相談で用意しておくと、学校ごとの違いが見えやすくなります。
よくある質問
指定校推薦の枠はいつ頃分かりますか?
指定校推薦の案内時期に全国一律の決まりはなく、高校によって夏から秋ごろに当年度の推薦枠や校内選考を案内する例があります。
希望する大学がある場合は、早めに進路担当の先生へ相談し、最新の予定を聞いてみてください。
転入・編入した場合、前籍校の成績や評定はどう扱われますか?
前籍校での成績や修得単位の記録がなくなるわけではなく、大学出願時の調査書は指導要録などに基づいて作成されます。
ただし、前籍校で修得した単位のうち、受入校の校長が卒業に必要な単位として認める範囲は、学校によって異なります。
指定校推薦の校内選考で前籍校を含むどの期間の成績・出席・出校状況を確認するかも、在籍予定校の進路担当への確認が必要です。推薦を考えている場合は、転入・編入前に在籍予定校の進路担当へ確認しておきましょう。
まとめ|通信制高校の指定校推薦は在籍校の推薦枠と校内選考で決まる
通信制高校でも指定校推薦で大学を目指せますが、利用できるかどうかは学校ごとの条件で決まります。整理すると、確認の軸は5つです。
- 利用の可否:通信制課程であることだけを理由に、制度上一律に対象外になるわけではなく、枠の有無や対象の大学・学部は学校と年度で変わる
- 仕組みと注意点:高校から推薦を受けて出願し、進路が早く決まりやすい一方、専願や入学確約を求められる場合がある
- 評定:学校が定める評価規準・方法で決まり、大学の出願要件や校内選考とは別のもの
- 校内選考:出席・出校状況や学校活動なども見る学校があり、基準は在籍校ごとに違う
- 学校選び:進学実績、推薦枠の傾向、進路指導体制を、複数校で同じ項目を見比べる
指定校推薦は、通信制高校かどうかではなく、在籍する学校の推薦枠や校内選考の基準、志望する大学・学部の出願要件によって利用できるかが分かれます。志望する大学や学部が決まっている場合は、その分野の枠がこれまでにあったかを、進路担当の先生に具体的に尋ねるところから始められます。