- 単位制と学年制で異なる、単位を落としたときの扱い
- レポート・スクーリング・試験の不足ごとに、学校へ確認したい対応
- 卒業時期を考えるうえで確認したい主な4つの卒業条件
- 転校とサポート校の併用で変わる、単位の扱い
通信制高校でレポートの提出や試験が間に合わず、単位を落としてしまうことがあります。単位制を採用している学校では学年ごとの進級判定がないため、未修得の科目は学校の教育課程に応じて翌年度以降に履修し直すなどして補える場合があり、単位を落としても卒業を目指せなくなるとは限りません。
立て直しやすさは、何が足りなかったのか、学校にどんな対応があるのかによって変わります。
この記事では、通信制高校で単位を落としたときの原因の整理と学校への確認事項から、卒業時期や在籍年限への影響、転校という選択肢まで解説します。
単位制の通信制高校で「留年」が基本的にない理由
単位制を採用している通信制高校では、単位を落としても学年をやり直す「留年」の扱いにはならず、不足した科目の単位をあとから積み足す形になります。そのぶん、卒業までの期間が延びる可能性はあります。
学年制との違いを、単位を落としたときの扱いまで含めて表にまとめます。
| 仕組み | 進級・卒業の考え方 | 単位を落としたとき |
|---|---|---|
| 学年制 | 学年ごとに課程の修了を判定し、次の学年に上がれるかが決まる | 学年の修了が認められないと、同じ学年をやり直す(原級留置)場合がある |
| 単位制 | 学年による区分を設けず、科目ごとに単位を積み上げ、必要単位数や必履修科目、特別活動などの卒業要件を満たすことで卒業できる | 不足した科目の単位を、あとから積み足して補う |
学年制か単位制かは、通信制・全日制という課程の区分とは別の分け方です。全日制にも単位制を採用する学校があるため、通信制だから単位制とは限らず、通っている学校がどちらの仕組みかを確かめておくと、単位を落としたときの扱いを具体的に考えやすくなります。
単位制の学校では、必要な単位をあらためて積み上げながら卒業を目指す形になります。ただ、再履修できる時期や方法は学校によって異なるため、まずは自分の学校のルールを担任や窓口に確認しましょう。
表の学年制と単位制の違いは、落とした科目だけを取り直すのか、学年ごとやり直すのかという点にあります。通っている学校がどちらの仕組みかで先の見通しが変わるので、まず仕組みを知っておくだけでも、落ち着いて考えやすくなります。
単位を落とす主な原因はレポート・スクーリング・試験など
単位が認定されるかどうかは、試験の点数だけでなく、レポートやスクーリングの状況もあわせて判断されます。そのため、単位が不足する場面は、学習の要素ごとに次の3つに分けて整理できます。
| 学習の要素 | 不足が起きる場面 |
|---|---|
| レポート | 提出期限に間に合わなかった、学校が定める基準に届かなかった |
| スクーリング | 必要な時間数に足りなかった |
| 試験 | 点数が基準に届かなかった |
これらは一つだけでなく、複数が重なって単位不足につながることもあります。背景に、生活リズムの乱れなどで学習を続けにくかった事情がある場合もあります。
振り返りは原因探しのためではなく、次にどこを補えばよいかを見つけるために行うものです。
「どこで足りなかったか」は、レポート・スクーリング・試験のうち、担任に伝えやすいものから整理すれば大丈夫です。思い当たることが一つに絞れなくても、一緒に確認していけます。
単位を落としたら、まず学校に不足の中身を伝える
単位を落としたと分かった段階でまず大切なのは、一人で抱え込まずに学校へ相談することです。
学校によっては、単位修得が難しくなった生徒向けに、再試験や補習、レポートの再提出などの対応が設けられている場合があります。
学校に伝えたい3点
まずは担任や学習サポートの担当者に、次の3点を具体的に伝えましょう。
- いつの時点で不足が分かったか
- どの科目で不足したか
- レポート・スクーリング・試験のどれが足りなかったか
この3点が伝わると、学校側も使える対応を案内しやすくなります。
不足した要素ごとに、学校へ確認することは違う
不足した要素によって、学校に確認したい内容は次のように変わります。
| 不足した要素 | 学校に確認する内容 |
|---|---|
| レポート(未提出・期限遅れ) | 再提出や期限後の提出が認められるか |
| スクーリング(出席不足) | 追加のスクーリングや振替が可能か |
| 試験(点数不足) | 再試験などの機会があるか |
どの方法が使えるかは学校やその年度の状況によって変わるため、表は一般的な傾向として参考にし、実際の対応は学校で確認してください。
大きく不足したときの再履修
複数の要素が重なって大きく不足した場合は、次年度以降に再履修が必要か、いつ履修できるかを確認しましょう。
スクーリングの出席が足りない場合は、試験を受け直しても補えないため、追加のスクーリングや振替の有無を別に確認する必要があります。レポートや試験とは確認先が違うと分かっていると、相談がスムーズです。
単位を落とすと卒業時期はどうなる?卒業条件と在籍年限を確認
単位やそのほかの卒業要件が満たせない場合、卒業時期が延びることがあります。ここでは卒業に必要な条件と、見落としやすい在籍年限を分けて整理します。
卒業に必要な主な4つの条件
卒業時期が延びるかどうかを考えるうえで、まず確認したいのが次の4つの条件です。
| 条件 | 内容と補足 |
|---|---|
| 在籍期間 | 高校等での在籍期間が通算3年以上。転入・編入の場合は前の学校での在籍期間が含まれることもある |
| 必履修教科・科目 | 学習指導要領で定められた教科・科目を履修する。学校独自の卒業要件が定められている場合もある |
| 単位数 | 74単位以上を修得する。法令上の最低基準で、学校が上回る単位数を定めている場合もある |
| 特別活動 | 通信制課程では、卒業までに30単位時間以上の指導を受け、その成果が認められる |
単位を落としても、残りの在籍期間や次年度以降の履修で不足分を補い、当初の卒業予定時期までに必要な条件を満たせる場合もあります。
一方、不足している条件や科目の開講状況によっては、卒業時期が延びることもあります。
在籍年限の上限は学校によって異なる
また、「在籍年限」(在籍できる年数の上限)にも注意が必要です。
学校によっては、在籍できる年数の上限が定められている場合があります。単位の積み残しが続くとこの年限に近づくこともあるため、卒業までの見通しは早めに学校と一緒に確認しておくと安心です。
次の3点を担任と数字で確認しておくと、見通しが立てやすくなります。
- 不足している単位数と履修状況
- 次年度に履修できる単位数や科目
- 在籍できる年数の上限
74単位は法令上の最低基準で、学校が上回る卒業必要単位数を定めている場合があります。自分の学校の卒業必要単位数と在籍年限は、学則や募集要項でも確かめられると安心です。
【出典】
文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」
e-Gov法令検索「学校教育法」
学び方が合わないときは、転校とサポート校の併用という選択肢もある
学校のサポートを受けても学習ペースが合わないときや、環境を変えたいときには、他の通信制高校への転校や、いわゆるサポート校の併用という選択肢もあります。今の環境を続けることだけが唯一の道ではありません。
施設などを指す一般的な呼称で、学校教育法上の高等学校ではないため、単体では高校卒業資格を取得できません。この点が転校との大きな違いで、単位の扱いにも表れます。
| 選択肢 | 学校は変わるか | 単位への影響 |
|---|---|---|
| 転校 | 変わる | 前の学校の修得単位が、転校先の判断で卒業必要単位に加えられることがある |
| サポート校の併用 | 今の学校に在籍したまま利用できる場合がある | 単位認定は在籍する通信制高校が行い、サポート校は学習面などを支援する |
転校前に確認したいこと
前の学校で修得した単位がすべて引き継がれるとは限らないため、手続きの前に、どこまで認められるかを転校先に問い合わせておくと、卒業までの見通しが立てやすくなります。
サポート校を使う前に確認したいこと
在籍する通信制高校での単位修得を後押しする目的で、レポート作成や学習習慣づくりを個別に支援するサポート校もあります。
サポート校によって提携する通信制高校や利用条件が異なるため、現在の学校に在籍したまま利用できるかを事前に確認しましょう。
転校を考えるときは、前の学校の単位がどこまで認定されるかを転校先に確かめてから決めると、卒業までの道のりを描きやすくなります。サポート校は単位認定そのものを行わないため、支援内容が今の学校での単位修得に結びつくかどうかが判断の目安になります。
【出典】
文部科学省「通信制高校とは?」
e-Gov法令検索「単位制高等学校教育規程」
まとめ|通信制高校で単位を落としたときは、不足の中身と卒業までの見通しを確認する
単位制の通信制高校では、単位を落としても学年をやり直す扱いにはなりませんが、卒業時期が延びる可能性はあります。立て直しの出発点は、何がどれだけ足りないのかを具体的にすることです。
- 留年との違い:不足した科目の単位を、あとから積み足して補う形になる
- 学校への確認:レポート・スクーリング・試験のどれが不足したかによって、再提出、振替、再試験など確認する内容が変わる
- 卒業条件:在籍期間、必履修科目、74単位以上、特別活動など、卒業に必要な条件を満たせるかを確認する
- 在籍年限:学校によっては上限があり、単位の積み残しが続くと近づくことがある
- 転校・サポート校:学び方が合わないときは、転校やサポート校の併用も検討できる
単位を落としても、不足の中身と卒業までに満たす条件を学校と確認しておけば、卒業時期の見通しを立てやすくなります。まずは担任に、いつ、どの科目の、何が不足したのかを伝えるところから始めてみましょう。

