- サポート校と学習塾・予備校の役割の違いと、重なる部分
- 個別指導・集団授業・オンラインから塾を選ぶときの確認ポイント
- 通信制高校と塾・予備校の3つの組み合わせ方
- 大学受験で塾を活用するメリット
通信制高校に通いながら大学受験を目指す場合、「塾に通ったほうがいいのか」「サポート校とは何が違うのか」と迷うこともあるでしょう。学校の進路支援や自学自習を中心に準備を進める方法もあり、塾の利用に一つの正解はありません。
自分に必要な支援を見きわめるには、サポート校と塾・予備校の違い、指導形式、通信制高校との組み合わせ方を知っておくと整理しやすくなります。この記事では、塾の必要性の判断ポイントから、大学受験に向けた選び方、学校の学習との両立のコツまで解説します。
塾が必要かどうかは、4つの質問で整理できる
通信制高校は自宅学習が中心のため、教科書だけでは理解しにくい部分や、大学受験に向けた対策の不足を感じることがあります。
一方で、学校自体が大学受験対策のコースや進路指導を用意していることもあり、「必ず塾が必要」というわけではありません。次の質問で、自分の状況を整理してみましょう。
- 目的:高校卒業を中心に考えているのか、大学進学も視野に入れているのか
- 学習の進み具合:レポート(自宅で取り組み、添削指導を受ける課題)やスクーリング(学校などに登校して受ける面接指導)の学習で、理解が追いついているか
- 自習の続けやすさ:一人での学習にどのくらい集中し続けられそうか
- 入試方式:志望する大学の入試方式(一般選抜・学校推薦型選抜・総合型選抜など)で、学校の学習以外の対策が必要か
答えによって、塾の必要性はたとえば次のように分かれます。
- 学校の支援が軸になる:高校卒業を中心に考えていて、レポートやスクーリングも順調に進んでいる場合
- 塾・予備校も検討する:大学進学を視野に入れ、志望する入試方式への対策が学校だけでは足りないと感じる場合
- 学習環境を整えたい:一人で集中し続けるのが難しいと感じる場合。決まった時間に学べる場や、進み具合を相談できる相手がいると助けになる
判断に迷うときは、在籍している、または検討している通信制高校の進路担当や個別相談で、どこまで支援があるかを聞いてみるのも一つの方法です。
これらの質問は、生徒本人と保護者がそれぞれ答えてみて、食い違う点を話し合う材料にもなります。たとえば「理解が追いついているか」は、本人の感覚だけでなく、レポートの添削結果なども手がかりにすると、状況が見えやすくなります。迷うのは自然なことなので、すぐに答えを出さなくても大丈夫です。
サポート校と塾・予備校の違いは、学校生活の支えか受験対策か
通信制高校に通う生徒が利用できるサポート校と学習塾・予備校は、役割が異なります。
サポート校は学校生活や学習面の支え、塾・予備校は教科の学力や受験対策の強化が中心です。ただし、大学受験対策に力を入れるサポート校もあり、支援内容が重なる場合もあります。
主な違いを、役割・対象・検討する場面で比べてみましょう。
| 項目 | サポート校 | 学習塾・予備校 |
|---|---|---|
| 主な役割 | レポート学習の支援、生活・進路面のフォローなど | 教科の理解を深める学習指導、大学受験対策など |
| 対象 | 通信制高校の在籍生が中心 | 学年・年齢は塾・予備校によって異なる。通信制高校生を受け入れている塾・予備校もある |
| 検討する場面 | レポートの進め方や、登校・生活面の支えがほしいとき。大学受験や専門学習に力を入れる施設もある | 教科の成績を伸ばしたい、志望校の入試に向けた対策をしたいとき |
両方を併用する方法も、必要な支援に絞って利用する方法もあります。
サポート校だけでは高校卒業資格は得られない
サポート校に通うだけでは、高校卒業資格は得られません。
高校卒業資格は、在籍している通信制高校で、通算3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動の成果の認定などの卒業要件を満たすことで得られます。学校によっては、これを上回る単位数などを定めています。
【出典】
文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」
費用は施設ごとに違い、サポート校は就学支援金の対象外
費用は、施設やコース、指導形式によって異なります。サポート校の利用料は、国の高等学校等就学支援金(高校の授業料の負担を軽減する国の制度)の対象外です。
一方で、たとえば長野県には、県内に住所があり、所得などの条件を満たす世帯を対象に、サポート校等の利用料を補助する制度があります。
自治体独自の補助制度は、地域や条件によって利用できる場合があります。塾・予備校は、入会金や教材費、講習費なども含めた総額で比べておくと安心です。
【出典】
文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」
長野県「通信制高校サポート校等就学支援事業」
サポート校で受けられる支援は、施設によって違います。レポートの進め方や進路の相談を、在籍する通信制高校とサポート校のどちらで受けられるのか、最初に確認しておくことが大切です。迷ったときは、遠慮せずに学校やサポート校の窓口へ聞いてみましょう。
塾・予備校は、指導形式と通信制高校との両立しやすさで比べる
塾・予備校は、指導形式によって通い方や学び方が大きく変わります。
通信制高校に通いながら受験準備を進める場合は、スクーリングやレポートのペースに合わせやすいかどうかも、選ぶ手がかりになります。指導形式の違いと、比べるときに見ておきたい点を順に見ていきます。
個別・集団・オンラインで変わる通い方
塾・予備校の代表的な指導形式には、次のような特徴があります。なお、個別指導とオンラインのように、組み合わせて提供されている場合もあります。
| 指導形式 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 個別指導塾 | 講師と生徒が1対1、または少人数で進める。内容や進度を調整しやすい | 自分のペースで質問しながら進めたい人 |
| 集団授業型の予備校 | 多くの場合、決まったカリキュラムで、同じ目標の仲間と授業を受ける | 同じ目標を持つ仲間と一緒に学びたい人 |
| オンライン指導 | 自宅などから受講する。通学時間がかからず、時間割を組みやすい場合もある | 通学が難しい、自宅学習の延長で取り組みたい人 |
指導形式のイメージがつかめたら、実際に塾・予備校を比べるときの確認ポイントを見ていきましょう。
塾を選ぶときは、両立しやすさ・相性・費用を確かめる
通信制高校の学習と両立しやすいか、費用や契約の条件が続けられる範囲かも含めて、次の観点で比べてみると、候補を絞りやすくなります。
学習面
- 通信制高校に通っていることを伝えたうえで、受け入れの条件や、対応できる時間帯・コースを確かめられるか
- 通信制高校のスクーリングやレポート提出、試験のスケジュールと両立できるか
- 総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜など、志望する入試方式に対応しているか
相性
- 体験授業や説明会で、質問しやすい雰囲気や講師との距離感が自分に合うかを確かめられるか
費用・契約
- 授業料・入会金・教材費・講習費などを含めた総額はいくらか
- 休会・退会・授業の振替などの条件が自分に合っているか
高校生向けの大手の塾が合うか迷うときは、通信制高校生を受け入れている塾や、個別指導形式の塾も候補に入れると、選択肢が広がります。
指導形式は、人によって続けやすさが違います。通学の負担が大きいと感じるときは、オンラインや映像授業から始めて、様子を見ながら通学に切り替える方法もあります。試しに受講して負担感を確かめながら、無理なく続けられる形を選ぶことが、続けやすさにつながります。
通信制高校と塾・予備校を組み合わせる3つの方法
通信制高校生が大学受験対策をする方法は、学校とは別に塾へ通うだけではありません。
通信制高校に在籍しながら通える予備校や、通信制高校生に対応した個別指導塾を利用する方法のほか、通信制高校のコースの中で受験対策を進める方法もあります。
実際に提供されているサービスをもとに、組み合わせ方を見てみましょう。
| 組み合わせ方 | 例 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 通信制高校+外部の予備校 | 四谷学院「通信制高校からの大学受験コース」 | 学校の学習と受験勉強を、同じ生活リズムで組み立てたい |
| 通信制高校+1対1の個別指導塾 | キズキ共育塾 | 学校の学習と受験勉強の両方で、必要な部分を個別に補いたい |
| 通信制高校のコースで受験対策 | 第一学院高等学校「プレミアムコース/大学進学専攻(ウイングネット活用)」 | 学校のコースの中で、映像授業を使った受験対策を進めたい |
同じ大学受験対策でも、通う場所や指導の形が違います。それぞれの内容と、確認しておきたい条件を見ていきます。
外部の予備校で、学校の学習と並行して受験対策を進める
四谷学院には、通信制高校に在籍しながら大学受験対策を進められる「通信制高校からの大学受験コース」があります。
通学とオンラインの両方に対応し、日中から夜まで受講時間を選べるため、スクーリングや学校の学習予定に合わせて時間割を組みやすくなっています。
実際に通える時間帯や受講枠は、申し込みの際に確認しておくと安心です。
1対1の個別指導で、必要な学習を補う
キズキ共育塾では、通信制高校生向けの案内を設け、完全1対1の個別指導を行っています。
中学校以前の内容からの学び直しや大学受験対策に加え、スクーリングに行けない場合など、通信制高校での学習に関する相談にも対応しています。
スクーリングの日程などの扱いは在籍する通信制高校が決めるため、学校への相談の仕方や、代わりの方法がない場合の相談先として活用できます。
通信制高校のコースで、大学受験対策を進める
塾・予備校へ別に通うのではなく、通信制高校が用意する大学進学向けのコースを利用する方法もあります。
たとえば第一学院高等学校の「プレミアムコース/大学進学専攻」では、Web映像配信授業「ウイングネット」などを活用して、大学受験対策を進められます。ウイングネットは、市進予備校や学研の映像授業を配信する仕組みです。
ただし、開講キャンパスは決まっており、キャンパスの案内では週5日登校のコースとして表示されています。
キャンパスには、通信制高校の学習や生活を支える学習等支援施設も含まれるため、通学先や登校日数、費用は、在籍を検討するキャンパスで確認しましょう。
【出典】
第一学院高等学校「大学進学専攻」
第一学院高等学校「キャンパスを探す」
まず学校のサポートを確認し、足りない部分を外部で補う
大学受験を目指す場合でも、塾を別に契約することが必須とは限りません。まず在籍している、または検討している通信制高校にどこまで大学受験のサポートがあるかを確認しましょう。
不足する部分があれば外部の塾・予備校を検討するという順番で考えると、自分に合う組み合わせを選びやすくなります。
コースや対応内容は変更される場合があります。利用を検討する際は、各校・各塾の最新情報を確認してください。
どの方法を選ぶかで、確認する窓口が少しずつ違います。外部の予備校や個別指導塾は塾の窓口で通学・オンラインの条件を、通信制高校のコースは在籍を検討する学校やキャンパスで通学先と登校日数を確認する必要があります。どこに聞けばよいか迷うのは自然なことなので、気になるものから相談してもよいでしょう。
大学受験で塾を活用すると、入試情報の補完や弱点補強に役立つ場合がある
通信制高校から大学進学を目指す場合、学校の学習に加えて塾を活用すると、支えになる面があります。ただし、どの面が必要かは、学校の進路支援や本人の学習状況によって変わります。
- 入試情報の補完:学校の進路支援だけでは不足する場合に、総合型選抜や学校推薦型選抜などの情報や対策を補える
- 弱点補強:一般選抜に向けた教科指導がある塾では、教科ごとの弱点を重点的に補強できる
- 本番対策:模試や過去問演習を利用できる塾では、受験本番のペース配分を試せる
- やる気の維持:自宅学習が中心だと目標に向かう緊張感を保ちにくいこともあり、同じ目標の仲間や講師との関わりが、生活リズムや学習計画を整えるきっかけになる場合がある
ただし、塾の利用は大学進学の必須条件ではありません。学校の進路支援や自学自習を中心に受験準備を進める方法もあります。
メリットのうち、自分にとって特に必要なものがどれかを先に決めておくと、塾を選ぶときに迷いにくくなります。たとえば入試情報の補完が目的なら、志望する入試方式に対応しているかを見ます。あわせて、費用や通学の負担が続けられる範囲かも、保護者と一緒に確認しておくと見通しが立ちます。
学校の学習と塾の両立は、日程の整理と相談先づくりから
通信制高校の学習と塾・予備校の両立では、スケジュール管理とやる気の維持が課題になることがあります。日程の整理と、無理なく続ける工夫の2つの面から、両立のしかたを考えてみましょう。
スケジュールを整理する
- 学校から案内されているレポート提出・スクーリング・試験の日程を先に把握し、塾の予定と重ならないよう調整する
- 1週間単位で学習時間の目安を決め、詰め込みすぎない計画を立てる
無理なく続けるための工夫
- 「学校の学習」と「受験対策」で目的が違うことを意識し、優先順位を決める
- 体調や気分に波があるときは、無理に予定を詰めず、調整できる余白を残しておく
- 定期的に、担任や塾の講師、サポート校を利用している場合はそのスタッフに、進み具合を相談する
両立が難しく感じられる時期は、計画を見直して調整してみましょう。学校の学習も受験勉強も、続けやすい形に整えていくことが、進路の実現につながりやすくなります。
両立の計画は、一度立てたら終わりではなく、レポートの提出前や試験の前など、区切りごとに見直すと続けやすくなります。保護者は、勉強の量を細かく確認するよりも、本人が計画をどう感じているかを聞く関わり方が合うこともあります。つまずいたときも、計画の立て方を変えるきっかけにできます。
まとめ|学校の支援を起点に塾との組み合わせを考える
通信制高校での学びは自宅学習が中心になるため、大学受験を目指す場合に塾・予備校がどこまで必要かは、人によって異なります。ここまでの内容を、判断から両立の順に振り返ります。
- 塾が必要かの判断:高校卒業を中心に考えるのか、大学進学も視野に入れるのか、学校の進路支援で足りるのかによって、塾・予備校を使う必要性は変わります
- サポート校と塾の違い:サポート校は学校生活や学習面の支え、塾・予備校は教科の学力や受験対策の強化が中心です。ただし、大学受験に力を入れるサポート校もあり、支援内容が重なることがあります
- 選ぶときの確認:指導形式に加えて、スクーリングやレポート、試験との両立、入試方式への対応、総額や休会・退会の条件を見ておくと、候補を絞りやすくなります
- 組み合わせ方と両立:外部の予備校、1対1の個別指導塾、通信制高校のコースの3つの方法があり、日程を早めにすり合わせておくと、無理のない計画を立てやすくなります
通信制高校の学習を軸に、サポート校・塾・予備校の役割の違いを踏まえて、自分に必要な支援を整理してみてください。学校の進路支援でまかなえる部分と、外部の塾・予備校で補いたい部分が分かれば、自分に合う組み合わせが見えてきます。