- 退学を考える理由別に、学校で確認できる対処
- 在籍を続けたまま選べる休学・コース変更・転校の違い
- 編入学と高卒認定試験で、高校卒業資格を目指せるかどうかの違い
- 転校(転入学)で、前の学校の単位・在学期間が卒業の見込みにどう関わるか
通信制高校に通うなかで、「もう辞めたい」「退学したい」と感じることもあるでしょう。レポートがたまってしまった、学費の支払いが難しくなった、人間関係で疲れてしまったなど、きっかけは人それぞれです。
退学のほかにも、休学や転校(転入学)のように、高校の在籍を続けながら今の状況を変える方法があります。この記事では、気持ちと状況の整理から、退学の前に選べる休学・転校、退学したあとの編入学や高卒認定試験まで解説します。
通信制高校を「退学したい」と感じたら、辞めたいのか休みたいのかを先に整理する
退学を考えているときは、気持ちの面と手続きの面を分けて整理すると、選べる道が見えやすくなります。
気持ちの面は、学校を辞めたいのか、少し休みたいのかで、検討する方向が変わります。手続きの面は、レポートやスクーリングの不足、学費の未納など、学校に相談すれば対処できる場合があります。
相談する前に、次の4つを言葉にできるか確かめてみてください。
- 「今の学校を辞めたい」のか、「高校生活自体を少しお休みしたい」のか
- 単位認定に必要なレポート・スクーリング・テストのうち、何が足りていないか
- 学費の支払いで困っていることがあるか
- 担任・スクールカウンセラーなど、すでに相談できる相手がいるか
すべてに答えが出ていなくても大丈夫です。分からない項目は、そのまま担任に伝えてかまいません。何が足りていないか分からないときは、レポートやスクーリングの状況を一緒に確認してもらえることがあります。
サポート校を利用している場合は、スタッフにも相談できます。ただし、休学や転校(転入学)など学籍にかかわる正式な手続きは、在籍する高校に確認しましょう。
チェックリストの答えは、本人と保護者で違っていることがあります。本人は「少し休みたい」、保護者は「単位が足りるか心配」と受け止めている、といった場合です。相談の前に、それぞれが思っていることを話しておくと、学校に伝える内容がまとまります。どちらの受け止め方も、間違いではありません。
【出典】
文部科学省「通信制高校とは?」
e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」
退学を考える理由によって、学校に相談できる対処は変わる
退学を考える理由は一つとは限らず、複数の悩みが重なっていることもあります。理由ごとに対処の方向性は異なるため、まずは自分の状況に近いものを確認してみましょう。
| 退学を考える理由 | まず確認できること | 相談先の例 |
|---|---|---|
| レポート・スクーリング・テストが足りず、単位が取れそうにない | レポートは再提出や期限の延長、スクーリングは追加の日程や振替、テストは再試験ができるか確認 | 担任、在籍する学校の窓口 |
| 学習のモチベーションが続かない | 通学頻度の異なるコースに変更できるか確認 | 担任、在籍する学校の窓口 |
| 学費の未納・経済的な負担が大きい | 分納の可否、就学支援金の申請状況や支給額、その他の修学支援制度を確認 | 在籍する学校の事務窓口(学費担当) |
| 人間関係や環境の変化がつらい | クラス・キャンパスを変更できるか、休学できるか確認 | 担任、スクールカウンセラー |
| 体調や気持ちの面でつらい | 休学できるか、登校の頻度を減らせるか確認 | 担任、スクールカウンセラー |
当てはまる行が複数あるときは、レポートの提出期限や学費の納入期限など、期限が決まっているものから先に相談すると、選べる選択肢を残しやすくなります。一人で抱え込まず、まずは状況を共有することから始めてみてください。
学費の面では、就学支援金が2026年4月から改正されています。以前、所得制限によって対象外だった場合も、2026年度からの条件で対象になる可能性があります。現在の受給資格を学校の窓口で確認してみてください。
やる気が出ないのは、怠けているからとは限りません。表の「モチベーションが続かない」の裏に、レポートの遅れや人間関係の疲れが隠れていることもあります。相談のときは「やる気が出ない」だけでなく、いつ頃から、何をきっかけに感じ始めたかも伝えると、担任も対処を考えやすくなります。
【出典】
文部科学省「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通知)」(令和8年3月31日)
退学の前に検討したい、在籍を続けられる休学・コース変更・転校
退学すると、今の学校の学籍はなくなります。一方、休学、コース・キャンパス変更、転校の3つは、どれも高校の在籍を続けられる方法です。
ただし、学籍が今の学校に残るのか、別の高校へ移るのかは選択肢ごとに違うため、状況に合うものを表で比べてみましょう。
| 選択肢 | どんな方法か | こんなとき | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 休学 | 校長の許可を受け、今の学校に学籍を残したまま一定期間休む | 体調や気持ちを立て直す時間がほしい | 期間・条件、卒業時期への影響、休学中の学費や就学支援金の扱い |
| コース・キャンパス変更 | 今の学校に学籍を残したまま、通学頻度やサポート体制の異なるコースへ移る | 学校は続けたいが、通い方や環境を変えたい | 変更できる時期、学費の変わり方、変更後の通学頻度やサポート内容 |
| 転校(転入学) | 今の学校を退学せず、在籍中に手続きをして別の高校へ学籍を移す | 今の学校の環境が合わず、別の学校で高校生活を続けたい | これまでの修得単位・在学期間の扱い、転入できる時期、必要な書類 |
選択肢は一つに絞らなくてもかまいません。休学で時間を取ってから、復学後にコース変更や転校を考えるという順番もあります。学費の負担が理由の場合は、どの選択肢を選ぶときも、学費の相談をあわせて進めておくと安心です。
休学を選ぶときは、休み始める前に「いつ、どんな手続きで戻れるか」まで聞いておくと、休んでいる間の不安が小さくなります。戻れる時期が学校で決まっている場合もあるため、復学の流れは早めに確かめておきたいところです。休むことも、高校生活を続けるための選択肢の一つです。
【出典】
文部科学省「『成年年齢に達した生徒に係る在学中の手続等に関する留意事項について』に関するQ&A」
e-Gov法令検索「単位制高等学校教育規程」
e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」
退学したあとの編入学・高卒認定は、高校卒業資格を目指すかどうかで選ぶ
退学したあとにも、編入学、高卒認定試験、就職といった進路があります。選ぶときは、高校卒業資格を取得したいかどうかが分かれ道になります。
| 進路 | 高校卒業資格 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 別の高校へ編入学する | 卒業すれば取得できる | 前の高校の修得単位・在学期間の扱い、入学できる時期 |
| 高卒認定試験(旧・大検)を受ける | 取得できない | 合格後に使える範囲、18歳未満で合格した場合の扱い |
| 就職する | 取得できない | 「高卒以上」など、求人の応募条件 |
すぐに一つに決められなくても大丈夫です。情報を集めながら、少し時間をかけて考える期間を取ることも、次の一歩につながります。
高卒認定試験の合格で受験できる進学先と、18歳未満の注意点
高卒認定試験は、高校卒業者と同等以上の学力があることを認定する試験で、合格すると大学・短大・専門学校などの受験資格として使えます。
18歳未満で合格した場合は、原則として満18歳の誕生日から合格の効力が生じます。ただし、年度内に18歳になるのであれば、誕生日前でも大学受験は可能です。
年度の途中でも入れる編入学と、入り直したあとの授業料支援
編入学は、年度の途中から受け付けている通信制高校もあります。入学できる月は学校によって異なるため、気になる学校の公式サイトや資料で、最新の受け入れ状況を確認してみてください。
入り直したあとの授業料については、就学支援金の支給期間を超えて在学する場合に、「学び直し支援」(支給期間が終わったあとも、一定期間、授業料を支援する制度)の対象となることがあります。対象要件や申請方法は、入学先の学校や都道府県等の案内で確認してください。
退学したあとも、前の高校には在籍期間や修得単位などの記録が一定期間保存されています。編入学では、前の高校から在籍期間や修得単位を証明する書類を取り寄せることがあり、発行までに日数がかかる場合もあります。入りたい時期が決まったら、書類の準備も早めに始めておくと、出願の準備が慌ただしくなりません。
【出典】
文部科学省「高等学校卒業程度認定試験 概要・パンフレット等」
文部科学省「高等学校卒業程度認定試験とは」
文部科学省「大学受験等について」
第一学院高等学校「転入学・編入学受付中」
文部科学省「高校等で学び直す者に対する修学支援」
e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」
転校(転入学)先は、単位・在学期間の扱いと通い方の両方で比べる
転校では、今の学校で積み上げてきた単位や在学期間が転校先でどう扱われるかによって、卒業の見込みが変わります。転校先を選ぶときは、この引き継ぎと、転校後の通い方やサポートの両方を確かめておきたいところです。
これまでの学びの引き継ぎについては、転校先の学校に次の4点を聞いておくと、卒業までの見通しが立てやすくなります。
- これまで修得した単位が、転校先でどこまで認定されるか
- 前の高校の在学期間が、転校先の卒業に必要な在学期間にどう数えられ、いつ卒業できる見込みか
- 年度の途中で移る場合、今の学校で学習中の科目がどう扱われるか
- 転入できる時期(希望する月に入れるか)
転校後に無理なく続けられるかどうかは、次の3点で比べておくと判断しやすくなります。
- スクーリング(面接指導)の頻度と、会場が通いやすい場所にあるか
- レポートやスクーリングの進み具合を、学校がどう把握し、サポートしてくれるか
- 学費や納入方法が今の状況に合っているか
個別相談や学校説明会には、今の学校の成績や修得単位が分かる書類を手元に用意して臨むと、認定の見込みを具体的に聞けます。複数の学校に同じ質問をすると、学校ごとの違いが比べやすくなります。
転校の手続きでは、今の学校から転校先へ在学証明書などの書類が送られます。そのため、転校先を探している段階でも、今の学校の担任に早めに考えを伝えておくと、手続きが滞りにくくなります。本人から言い出しにくい場合は、保護者から先に相談する形でもかまいません。
【出典】
e-Gov法令検索「単位制高等学校教育規程」
e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」
まとめ|通信制高校を辞めたいときは、退学の前に休学や転校も比べてみる
退学を決める前に、気持ちと状況の整理、在籍を続けられる方法との比較、退学後の進路の確認という順番で考えると、選択肢を残したまま判断できます。状況別に、確かめておきたいことをまとめます。
- 退学を考え始めたら:「辞めたい」のか「休みたい」のか、何が足りていないのかを分けてから、担任など在籍する高校に相談する
- 在籍を続けたいなら:休学やコース・キャンパス変更は今の学校のまま、転校は別の高校へ移る形で、高校の在籍を途切れさせずに立て直す道がある
- すでに退学したなら:高校卒業資格を目指すなら別の高校への編入学、進学に必要な学力の認定を得るなら高卒認定試験と、目的によって選び方が変わる
通信制高校を辞めたいと感じても、退学だけが今の状況を変える方法ではありません。一人で結論を出す前に、今の気持ちと足りていないことを、そのまま学校に話してみてください。
