- 1単位あたりの単価で見る、公立と私立の授業料の違い
- 私立通信制高校の学費が高くなる3つの要因
- サポート校の費用が別枠になる仕組み
- 就学支援金の支給限度額と受給の条件
複数の学校の学費を見比べると、通信制高校の学費は高いと感じる場面があります。公立は授業料が低額な一方、私立は授業料に加えて施設設備費やコース費が設定される学校もあり、費用の仕組みそのものが異なります。
さらにサポート校を併用すると別の費用が加わり、就学支援金の対象も授業料に限られるため、金額だけでは比べにくくなります。
内訳を切り分けると、どこに負担がかかっているのかが見えてきます。この記事では、私立で学費が高くなる条件から、就学支援金で軽減できる範囲、総額を比較する際の確認点まで解説します。
通信制高校の学費、公立と私立でここまで違う
公立は授業料が自治体ごとに低額に設定されており、私立は学校ごとに1単位あたりの単価が異なります。同じ単位数を履修しても金額に開きが出ます。
公立と私立を1校ずつ例に、年間25単位を履修した場合の授業料を比べます。卒業に必要な修得単位数は最低74単位で、3年間で均等に履修すると1年あたり約25単位になります。
学校によっては、これを上回る卒業必要単位数を定めています。
| 区分 | 例 | 入学金 | 授業料(1単位) | 25単位を履修した場合の授業料 |
|---|---|---|---|---|
| 公立 | 東京都立高校(令和7年4月1日現在) | 500円 | 336円 | 8,400円(試算) |
| 私立 | 四谷学院高等学校(2026年度) | 50,000円 | 15,000円 | 375,000円 |
授業料は1単位の単価と履修単位数で決まる
表の2校は、いずれも授業料を「1単位あたりの金額×履修単位数」で設定しています。
単価が同じでも履修単位数が増えれば授業料も増えるため、単価と履修予定の単位数をあわせて確認する必要があります。
表の入学金は入学時にかかる費用で、授業料は履修する単位に応じて毎年かかる費用です。金額の大きさだけで比べず、卒業までに何回かかる費用なのかを分けて見積もると、総額のイメージがつかみやすくなります。転入や編入で残りの期間が短い場合も、この分け方で考えられます。
【出典】
東京都教育委員会「都立高等学校 通信制課程の授業料・入学料」
四谷学院高等学校「2026年度 学費情報」
私立通信制高校の学費が高くなる3つの要因と費用内訳
私立通信制高校の学費が高くなる要因は、3つに整理できます。
授業料の単価と履修単位数、学校が設定する施設設備費などの諸費用、そして通学コースやスクーリングで加わる費用です。
どの要因が効いているかは学校やコースで異なるため、費用を種類ごとに切り分けて確認することが大切です。
学校に納める費用
学校に納める費用は、授業にかかわる費用と、学校が設定する諸費用やコースの費用に分けると整理しやすくなります。
四谷学院高等学校(2026年度)の金額を例に、まず授業にかかわる費用から見てみます。
| 費用項目 | 内容 | 四谷学院高等学校の例(2026年度) | 金額が変わる条件 |
|---|---|---|---|
| 入学金 | 入学時にかかる費用です。数万円程度に設定されている例があります | 50,000円(初年度のみ) | 学校ごとの設定 |
| 授業料 | 「1単位あたりの金額×履修単位数」で設定している学校もあり、履修単位が増えると負担も増えます | 1単位15,000円(25単位で375,000円) | 履修単位数 |
| 教材費 | 教科書や副教材などの費用です | 教科書代が別途必要 | 履修科目・教材形式 |
続いて、施設や学習システム、スクーリング、コースなど、学校ごとに名称や内容が異なる費用です。
| 費用項目 | 内容 | 四谷学院高等学校の例(2026年度) | 金額が変わる条件 |
|---|---|---|---|
| 施設設備費・教育充実費 | 施設や設備、教育環境などに関して学校が設定する費用です。名称や内容は学校によって異なります | 施設設備費10,000円、教育充実費10,000円(年度ごと) | 学校ごとの設定 |
| システム利用料・通信費 | オンライン学習システムや通信などに関する費用です。名称や内容は学校によって異なります | システム利用料10,000円(年度ごと) | 学校ごとの設定 |
| スクーリング関連費 | 学校によって参加費などが必要になる場合があります | 本校スクーリング(対象者のみ)の参加費用が別途必要 | スクーリングの実施場所・対象者 |
| コース費 | 通学頻度やサポート内容に応じて設定される費用です | 本表の例には含みません | 通学頻度・サポート内容 |
名称や内容は学校ごとに異なり、同じ「施設設備費」でも含まれる範囲が違う場合があります。この例では授業料が費用の中心を占めており、コース費は選ぶコースによって総額が変わる部分です。
四谷学院高等学校の初年度を積み上げると
初年度に納める費用は、入学金50,000円、25単位分の授業料375,000円、施設設備費・教育充実費・システム利用料の合計30,000円を足して、455,000円になります。
学校が公表している金額を足し合わせた試算で、教科書代、本校スクーリングの参加費用、通学コース費は含まず、就学支援金の適用前です。
通学やスクーリングで別にかかる費用
学校に納める費用とは別に、登校のための交通費や、スクーリングの実施場所によっては移動・宿泊費がかかる場合があります。
| 費用項目 | 内容 | 金額が変わる条件 |
|---|---|---|
| 通学コースの交通費 | 週数回登校するコースを選ぶ場合、日常の通学にかかる交通費が別途必要になります | 通学コースの選択 |
| スクーリング費用 | スクーリングの会場によっては、交通費・宿泊費が別途必要になる場合があります | スクーリング実施地・宿泊の要否 |
週に数日通うコースでも、スクーリングは別の日程や会場でまとめて行う学校もあります。
通学日数がそのままスクーリングの日数になるとは限らないため、登校日数と費用は分けて確認しましょう。
学校に納める費用と、交通費などの実費は、資料への載り方が異なることがあります。納付金の一覧と、通学やスクーリングの交通費の見込みを分けて学校に尋ねておくと、見積もりの抜けを防げます。金額の大きさに驚いたときは、内訳を切り分けて見れば、どこに費用がかかっているかを落ち着いて確認できます。
【出典】
四谷学院高等学校「2026年度 学費情報」
四谷学院高等学校「スクーリング」
サポート校を利用する場合の費用は別枠で考える
サポート校の費用は、在籍する通信制高校の学費とは別に発生し、国の就学支援金の対象にはなりません。
サポート校は法令上の高等学校という学校区分ではなく、一般に通信制高校に通う生徒の学習面や生活面を支える施設を指す通称で、単体では高校卒業資格は取得できません。
| 費用 | 費用の位置づけ | 国の就学支援金 |
|---|---|---|
| 通信制高校の授業料 | 在籍する通信制高校の授業料 | 条件を満たせば対象になる |
| 通信制高校の入学金・教材費・施設費など | 通信制高校で別途かかる費用 | 対象外 |
| サポート校の費用 | 通信制高校の学費とは別に発生する費用 | 対象外 |
別枠になる費用の大きさは、公式ページに掲載された2校の例で確認できます。サポート校の費用は指導内容や通学日数によって幅があり、構成も学校ごとに異なります。
| サポート校の例 | サポート校の費用(公式ページの記載) | 通信制高校の学費 |
|---|---|---|
| 学研WILL学園 高等部課程 | 入学金110,000円(初年度のみ)、活動費264,000円(年額)、指導料は月額44,000円〜66,000円(コース別) | 連携校の学費が別途必要 |
| REO高等部 | 基本費用は初年度66,000円、2年目以降33,000円(税込)。コース別の月額サポート費用は通学コースで47,300円〜69,300円、管理費3,300円が別途 | 提携高校の学費が別途必要 |
※表は2026年9月30日時点の公式ページの記載で、全国の相場ではありません。表の金額に在籍する通信制高校の学費が加わるため、総額はその合計で考えます。
見積書で、通信制高校の分とサポート校の分が別々に書かれているか、合計額が示されているかを見ておくと、抜けに気づきやすくなります。わからない項目は遠慮せず尋ねて大丈夫です。
【出典】
文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」
学研WILL学園「入学案内」
REO高等部「サポート費用・学費」
就学支援金制度で実質負担を抑える仕組み
2026年度から所得制限が撤廃され、国内居住や国籍・在留資格、在学期間などの要件を満たせば、世帯の所得にかかわらず就学支援金の対象になります。
学校の設置者が代わりに受け取って授業料に充てるため、基本的には授業料から差し引かれます。学校によっては、いったん納めたあとに還付される場合もあります。
支給限度額は、公立・私立の別と、授業料が定額制か単位制かによって異なります。支給期間はいずれも原則48か月です。
| 授業料の形 | 私立通信制高校 | 公立通信制高校 | 上限の考え方 |
|---|---|---|---|
| 定額制 | 28,100円/月 | 520円/月 | 月額で決まり、私立は12か月分で最大337,200円 |
| 単位制 | 13,668円/単位 | 336円/単位 | 1単位あたりで決まり、対象となる履修単位数は年間30単位・通算74単位まで |
定額制と単位制の上限は別の条件
2つの上限は別の条件のため、合算して考えないようにしましょう。実際の授業料が限度額を下回るときは、授業料額が上限になります。
受給には要件の確認と申請が必要
受給には申請と認定が必要で、すでに高校等を卒業・修了している場合は対象外となるなど、ほかにも条件があります。手続きの時期や必要書類は、学校・都道府県によって異なります。
支給されるのは授業料のみ
入学金や教材費、施設費、サポート校の費用は含まれません。支給額は学校が決めるものではなく、学校種・課程・授業料などの条件によって国の制度上決まります。
自治体によっては、就学支援金とは別に独自の授業料軽減制度を設けている場合もあります。
表を見るときは、在籍予定の学校が公立か私立か、授業料が定額制か単位制かで、見る箇所が変わります。学校の料金表でどちらの形かを確かめると、自分の場合の支給限度額に見当がつきます。迷うときは、入学前の相談で確認できます。
【出典】
文部科学省「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律等の施行について」
文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」
学費の比較は、同じ条件で見積もりをそろえて確認する
学費は、金額だけを並べても正しく比べられません。授業料だけの金額か諸費用を含む金額か、サポート校の費用を含むか、就学支援金の適用前か適用後かが学校ごとに違うと、差の理由が学校の違いなのか前提の違いなのか判断できなくなります。
費用の内訳、就学支援金、サポート校と通学コースの順に、確認したい項目を見ていきましょう。
費用の内訳を確認する
- 卒業までにかかる総額(新入学の場合は原則3年間)を確認する
- 授業料が「1単位あたり」か定額か、履修予定の単位数は何単位かを確認する
- 施設設備費やシステム利用料など、名称の違う費用が何を含むかを確認する
- 修学旅行の積立金や生徒会費など、学校徴収金の有無を確認する
就学支援金の扱いを確認する
- 提示された金額が、就学支援金の適用前か適用後かを確認する
- 就学支援金適用後の実質負担額を学校に確認する
- 対象要件(国籍・在留資格・在学期間など)を満たしているか確認する
サポート校・通学コースを確認する
- サポート校を併用する場合、通信制高校の分とサポート校の分が別々に示され、合計額が出ているかを確認する
- 通学日数やコースによって費用が変わるかを確認する
- スクーリングの交通費・宿泊費の見込みを、学校に納める費用とは別に確認する
見積もりは、同じ履修単位数・同じコース・同じ期間の条件で各校に依頼すると、金額を並べて比べられます。転入や編入の場合は、期間を残りの在籍期間にそろえます。
見積もりを頼むときは、履修予定の単位数、希望するコース、在籍予定の期間の3つを学校に伝えておくと、金額の前提がそろいます。前提が違うまま届いた金額は、比べても差の理由がわかりません。不明な点は、そのつど質問して構いません。
よくある質問
通信制高校の学費は分割払いできますか
私立通信制高校の中には、学費の分割納入に対応している学校もあります。対応の可否や回数は学校・コースによって異なるため、学校の資料や個別相談で確認しましょう。
公立通信制高校でも追加費用はかかりますか
公立通信制高校でも、教材費のほか、修学旅行等の積立金や生徒会費などの学校徴収金がかかることがあります。
東京都立高校では、こうした学校徴収金は学校ごとに決められています。授業料が低額でも、総額は学校に確認しましょう。
就学支援金で授業料は実質無料になりますか
受給要件を満たし、支給対象となる授業料が制度上の上限内であれば、授業料の負担が実質0円になる場合があります。
単位制の場合は、支給対象が年間30単位・通算74単位までなどの条件があります。
授業料が支給限度額を超える場合は差額が自己負担になり、入学金や教材費、施設費、サポート校の費用は対象外です。
就学支援金はいつ申請すればよいですか
就学支援金は、入学や転入のタイミングなど、学校から案内された時期に申請します。
手続きの時期や方法、必要書類は学校・都道府県によって異なります。
申請が遅れると、やむを得ない事情が認められない限り、さかのぼって支給されない月が生じることがあります。
まとめ|通信制高校の学費は内訳を切り分けて確認する
私立通信制高校の学費が高く感じられるのは、授業料の単価、学校ごとの諸費用、通学やスクーリングの実費が重なるためです。そこにサポート校の費用と就学支援金の適用が加わると、金額の見え方はさらに変わります。
- 私立の学費:高くなる要因は、授業料の単価と履修単位数、学校ごとに異なる諸費用、通学やスクーリングの実費の3つ
- サポート校の費用:通信制高校の学費とは別にかかり、国の就学支援金の対象外
- 就学支援金:対象は授業料のみで、定額制か単位制かによって支給限度額が異なる
- 比較の方法:就学支援金の適用前後を分け、同じ履修単位数・コース・期間で見積もりをそろえる
通信制高校の学費は、金額の大きさだけでなく、何に対する費用で、就学支援金の対象になるのはどこまでかを確認して、はじめて比べられます。
まずは候補の学校に、履修予定の単位数・コース・在籍予定の期間を伝えて、同じ条件の見積もりを頼んでみましょう。