- 2026年度から変わった就学支援金の所得制限のルール
- 公立・私立・サポート校で就学支援金の対象がどう違うか
- 授業料以外の教材費・通学費を支援する奨学給付金の対象範囲
- 通信制高校を対象に含む交通遺児育英会・あしなが育英会などの奨学金
通信制高校の学費は、就学支援金や奨学金などの制度を組み合わせることで、世帯の負担を抑えられる可能性があります。代表的な支援制度は就学支援金・奨学給付金・奨学金の3種類で、対象費用や申請先はそれぞれ異なります。
この記事では、3つの制度の内容や公立・私立・サポート校での違い、申請時の注意点を整理しました。気になる制度があれば、学校や制度の窓口に世帯の状況を確認してみましょう。
通信制高校で使える主な支援制度は3種類
通信制高校の学費負担を軽減する制度は、大きく分けて「就学支援金」「奨学給付金」「奨学金」の3つに整理できます。
何に使えるかを先に一覧しておくと、自分に合った制度を探しやすくなります。
| 制度 | 何に使えるか | 特徴 |
|---|---|---|
| 高等学校等就学支援金 | 授業料 | 2026年度から所得制限が撤廃され、一定の要件を満たせば世帯の所得にかかわらず対象になる |
| 高校生等奨学給付金 | 教材費・通学費など授業料以外 | 返済不要の給付金 |
| 奨学金 | 学費・教育費など(対象となる費用や使途は制度による) | 地方自治体・民間団体・学校独自の制度があり、貸与型と給付型がある |
これらは併用できる場合がありますが、対象要件や申請時期が異なるため、それぞれの条件を個別に確認する必要があります。
就学支援金は授業料、奨学給付金は教材費や通学費、奨学金は不足分を補うものと、対象となる費用がそれぞれ異なります。「まとめて申請できる」と誤解せず、まず何のための制度かを1つずつ確認していくと手続きの抜け漏れを防ぎやすくなります。
高等学校等就学支援金(授業料の負担軽減・条件つき)
高等学校等就学支援金は、国が授業料の一部または全部を支援する制度です。
公立・私立、通信制・全日制を問わず対象となり得ますが、支給額は学校の種類(公立か私立か)や単位数によって変わります。
制度の詳細や最新の支給基準は、文部科学省や在籍予定の学校で必ず確認してください。
2026年度からの変更点
2026年度の制度改正で、就学支援金は次のように変わりました。
| 項目 | 〜2025年度 | 2026年度〜 |
|---|---|---|
| 所得に関する要件 | 保護者等の所得により支給対象や私立の加算額が異なった | 撤廃(要件を満たせば所得にかかわらず対象) |
| 国籍・在留資格等 | 国内居住などの要件あり | 日本国籍または対象となる在留資格(永住者・特別永住者・配偶者等・定住者など)の要件を明確化 |
| 在学期間等 | 要件あり | 引き続き要件あり |
| 私立通信制の支給限度額(定額授業料・年額) | 29万7,000円 | 33万7,200円 |
| 私立通信制の支給限度額(単位制・1単位あたり) | 従来より引き上げ | 13,668円 |
※実際の支給額は、授業料額、履修単位数、年間・通算の支給対象単位数などにより異なります。定額授業料の年額上限は、月額28,100円を12か月分に換算した金額です。
いずれの場合も、要件を満たしたうえで申請・認定の手続きが必要です。
国籍・在留資格等の要件を満たさない場合でも、経過措置や「高校生等・新修学支援」の対象になることがあるため、学校に確認するとよいでしょう。
公立・私立・サポート校での違い
就学支援金は、あくまで「高等学校等」としての就学に対する支援であるため、対象となるのは通信制高校本体の授業料です。
公立・私立いずれの通信制高校も対象になり得ますが、支給の考え方や自己負担の目安には違いがあります。
| 区分 | 就学支援金の対象 | 備考 |
|---|---|---|
| 公立通信制高校 | 対象(受給資格等を満たす場合) | もともと授業料が低額な場合もある |
| 私立通信制高校 | 対象(受給資格等を満たす場合) | 履修単位数や授業料額、過去の支給実績などにより実際の支給額が異なる |
「私立高校の無償化」という表現がニュースなどで使われることがありますが、2026年度から所得制限は撤廃されたものの、支給額には上限があり、在留資格や在学期間などの要件を満たす必要もあります。
「誰でも学費が全額無料になる」わけではないため、必ず在籍予定の学校を通じて自分の場合の支給見込みを確認しましょう。
サポート校の費用は就学支援金の対象外
サポート校を併用している場合、サポート校に支払う費用は就学支援金の対象にはなりません。
サポート校は高校ではなく民間の学習支援施設であるため、在籍する通信制高校の授業料に対する就学支援金とは分けて考える必要があります(施設によっては独自の支援制度がある場合もあります)。
サポート校の費用が対象外である点は、2026年度の制度改正でも変わっていません。サポート校の利用を検討している場合は、通信制高校側の支給見込みとは別に、サポート校の費用も含めた総額で考えておくと安心です。
【出典】
文部科学省「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律等の施行について」
文部科学省「高校生等への『修学支援』が新しくなりました」
文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」
高校生等奨学給付金(返済不要の給付型支援)
高校生等奨学給付金は、授業料以外の教育費(教材費・通学費など)を支援する返済不要の制度です。
生活保護世帯や住民税所得割非課税世帯に加え、2026年度からは年収約490万円未満の世帯まで対象が拡大されました(両親の一方が働き、高校生1人・中学生1人の4人世帯の目安)。
就学支援金とは別枠の制度で、支給額は所得区分や世帯構成、在籍する学校の種類によって異なります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 生活保護世帯・住民税所得割非課税世帯に加え、2026年度からは年収約490万円未満の世帯まで拡大(4人世帯の目安) |
| 申請先 | 原則として保護者が居住する都道府県(都道府県によっては学校を通じて手続き) |
| 申請時期 | 年度ごとの申請が必要になる場合が多く、自動更新ではない場合がある |
申請を忘れると支給を受けられない場合があるため、入学前後の説明会や学校案内で、必ず案内内容を確認しておきましょう。
年度ごとの案内は見落としやすいため、学校からのお知らせが届いていないか、入学後も定期的に確認しておくと安心です。
奨学金(貸与型・給付型)と学校独自の特待制度
就学支援金・奨学給付金でカバーしきれない部分は、奨学金や学校独自の学費サポート制度で補う方法があります。
奨学金には返済が必要な「貸与型」と、返済不要の「給付型」があり、提供元によって条件が大きく異なります。
主な奨学金の提供元
| 提供元 | 返済 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日本学生支援機構 | 貸与型・給付型 | 主に大学・短大・専門学校等への進学後に利用する制度。高校在学中の在学費用そのものを支給するものではない |
| 地方自治体 | 制度による | 都道府県・市区町村ごとに独自の制度。居住地と学校所在地のどちらを基準にするかなど条件はさまざま |
| 民間団体・財団 | 制度による | 給付型・貸与型・両者を組み合わせた制度があり、募集人数や応募条件は団体ごとに異なる |
| 学校独自の特待生・特待制度 | 給付型に近い減免 | 入学時の成績や状況に応じて学費の一部を減免する学校もある |
貸与型は卒業後に返済義務が生じるため家計への影響を長期的に考える必要がある一方、給付型は返済不要でも募集人数や審査基準が制度ごとに異なり、必ず利用できるとは限りません。
学校独自の特待制度も学校ごとに条件が異なるため、気になる学校の公式サイトや資料請求で個別に確認するとよいでしょう。
中でも民間団体の奨学金には、通信制高校を対象に含める制度もあります。
通信制高校を対象に含む民間団体の例
| 団体 | 対象 | 支給内容 |
|---|---|---|
| 交通遺児育英会 | 保護者が道路上の交通事故で死亡または重度の後遺障害となった家庭の生徒で、日本国籍または永住者(通信制・定時制も対象) | 月額2万円・3万円・4万円から選択(うち1万円分は給付、残りは無利子貸与) |
| あしなが育英会 | 保護者を病気・災害・自死などで亡くした、または一定の障害状態にある家庭の生徒(定時制・通信制を含む高等学校等が対象) | 月額3万円の給付(返済不要) |
※募集時期や申請期限は年度・応募区分によって異なります。すでに当年度の募集が終了している場合もあるため、各団体の最新の募集要項を確認してください。
いずれも通信制高校の生徒を対象に含んでいますが、事故や病気などの事由が合っていれば利用できるわけではありません。交通遺児育英会は経済的に修学が困難であることや所得・年齢等の条件も満たす必要があります。
あしなが育英会は対象となる事由に道路上の交通事故は含まれず、保護者が1〜5級の障害認定を受けていることや、経済的援助を必要とする家庭であることが条件です。
詳しい条件は各団体の募集要項で確認しましょう。
貸与型奨学金は在学中は助かる一方、卒業後の返済が家計にどう影響するかは見えにくいものです。借りる前に、月々の返済額の目安まで確認しておくと、無理のない判断がしやすくなります。
【出典】
公益財団法人交通遺児育英会「奨学生募集のご案内」
あしなが育英会「高等学校・高等専門学校奨学金のしおり」
「返済の有無」「対象費用」「申請時期」で制度を比較する
複数の制度を比較する際は、「返済の有無」「対象となる費用」「申請のタイミング」の3つの軸で整理すると、家庭の状況に合った制度を選びやすくなります。
| 制度 | 返済 | 対象費用 | 申請のタイミング |
|---|---|---|---|
| 高等学校等就学支援金 | 不要 | 授業料 | 学校から案内された時期に申請(提出期日は学校・都道府県により異なる) |
| 高校生等奨学給付金 | 不要 | 教材費・通学費等 | 年度ごとの申請 |
| 貸与型奨学金 | 必要 | 学費全般・生活費含む場合も | 入学前後~在学中 |
| 給付型奨学金(自治体・財団など) | 不要 | 制度により異なる(学費・教育費など) | 制度により異なる(入学前後~在学中) |
| 学校独自の特待制度 | 不要 | 学費の一部~全部 | 学校により異なる(出願前に確認) |
返済不要な制度から優先して確認する
複数の制度を検討するときは、次の順番で確認すると、無理なく使える制度から絞り込めます。
- 返済不要な制度から確認する:就学支援金・奨学給付金は世帯の状況によって対象や支給額が変わるため、まず自分が対象になるかを確認する
- 給付型奨学金・特待制度を探す:自治体・民間団体・学校独自の給付型は対象や募集人数が限られる制度が多いため、早めに情報を集めておく
- 貸与型奨学金を検討する:卒業後に返済が生じるため、月々の返済額まで含めて無理のない金額かを確認する
ただし世帯の状況によって最適な組み合わせは異なるため、学校の窓口や個別相談で、自分の世帯に当てはまる制度を確認するのが確実です。
「返済の有無・対象費用・申請時期」で整理すると全体像はつかみやすくなりますが、実際の手続き方法や時期は学校や自治体ごとに違いがあります。細かな条件は、在籍予定の窓口に直接確認するのが確実です。
申請時の注意点とチェックリスト
支援制度は種類が多く、申請時期や必要書類も制度ごとに異なります。
手続きの抜け漏れを防ぐために、以下のポイントを事前に確認しておくと安心です。
申請前に注意したいポイント
- サポート校を利用する場合、就学支援金の対象は在籍する通信制高校側である点を混同しないようにする
- 貸与型奨学金は卒業後の返済計画についても事前に確認しておく
- 制度の詳細・支給額・所得要件は年度により変更される場合があるため、必ず最新の公式情報を確認する
申請前のチェックリスト
就学支援金:本人確認や国籍・在留資格等の書類が必要になる場合がある
奨学給付金:課税証明書等、年度ごとに更新が必要な書類がある場合が多い
手続きの時期:就学支援金・奨学給付金それぞれの申請時期を、在籍予定の学校・自治体の案内で確認したか
不明点がある場合は、学校の説明会や個別相談で直接質問すると、世帯の状況に合わせた具体的な案内を受けられることがあります。
チェックリストを一度確認しただけで安心せず、特に就学支援金は学校ごとに手続きの流れが異なるため、案内文に自分の学校名が書かれているかまで確認すると取りこぼしを防げます。
よくある質問
通信制高校でも就学支援金は必ずもらえますか?
2026年度から所得制限は撤廃されましたが、日本国籍または対象となる在留資格、在学期間などの要件を満たし、申請・認定を受ける必要があります。
また支給額には上限があるため、「必ず・全額もらえる」とは限りません。在籍予定の学校を通じて、自分の場合の支給見込みを確認することをおすすめします。
サポート校の費用に使える支援制度はありますか?
高等学校等就学支援金の対象は通信制高校本体の授業料で、サポート校に支払う費用は対象になりません。
一方、自治体や民間団体、学校独自の給付金・奨学金については、サポート校の費用に利用できるかどうかが制度ごとに異なります。
募集要項の「対象となる学校」「対象費用」「使途」を確認し、不明な場合は制度の運営団体へ問い合わせましょう。
なお、日本学生支援機構の奨学金は主に大学・短期大学・専門学校などへの進学後に利用する制度で、高校在学中のサポート校費用に充てるための制度ではありません。
複数の制度を同時に利用できますか?
国の高等学校等就学支援金と高校生等奨学給付金は併用できます。
自治体・民間団体・学校独自の制度は、所得要件や支給元の規定により他制度との併給が制限される場合があるため、募集要項や学校の窓口で確認するのが確実です。
まとめ|制度を組み合わせて無理のない学費計画のために
この記事のポイントを振り返ります。通信制高校の学費は、就学支援金・奨学給付金・奨学金・学校独自の特待制度など複数の仕組みを組み合わせることで負担を抑えられる可能性がありますが、対象条件や申請時期は制度ごとに異なり、思い込みでの判断は禁物です。
- 利用できる人:就学支援金は2026年度から所得制限が撤廃されましたが、国籍・在留資格や在学期間などの要件があります。奨学給付金や奨学金・特待制度は、世帯所得や家庭状況など制度ごとに応募資格が異なります
- 使える費用:就学支援金は授業料、奨学給付金は教材費・通学費など、奨学金・特待制度は学費全般が対象になり得る
- 注意点:サポート校の費用は就学支援金の対象外です。民間奨学金は、家庭状況や所得・年齢など、制度ごとに異なる応募条件が設けられている
- 次の行動:年度ごとの申請期限と必要書類を、在籍予定の学校窓口や制度の実施団体で確認する
就学支援金・奨学給付金・奨学金は、それぞれ対象や条件が異なるからこそ組み合わせる余地があります。「この制度は使えないはず」と決めつける前に、気になる制度が見つかったら、学校の窓口や制度の実施団体に、自分の世帯に合う組み合わせを具体的に確認してみましょう。





